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GRスープラ勢、苦しかった富士でも光ったau TOM’Sの強さ。46kgのSWを積みながら7ポジションアップの4位

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GRスープラ勢、苦しかった富士でも光ったau TOM’Sの強さ。46kgのSWを積みながら7ポジションアップの4位

 ニッサンZニスモGT500とホンダ・シビック・タイプR-GTが表彰台を分け合った2024スーパーGT第2戦のGT500クラス決勝。今回は全体的にトヨタGRスープラ勢が上位に食い込めない一戦となったなか、陣営最上位の4位を獲得したのが、46kgのサクセスウエイトを積む36号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)だった。

 予選ではさすがにサクセスウエイトの影響もあり11番グリッドとなったが、決勝がスタートして10周を過ぎたあたりから順位を上げ始め、31周目にはSTANLEY CIVIC TYPE R-GTを抜いて7番手に浮上した。

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 レース開始から1時間が経過した39周目に一度目のピットストップを行い山下に交代。ピット作業を迅速に終わらせたことで6番手にポジションを上げると、第2スティント担当の山下は着々と前を走るMARELLI IMPUL Zとの差を縮め、2回目のピットストップで逆転。最終スティントはふたたび坪井が乗り込み、最終的には3位のAstemo CIVIC TYPE R-GTに1.6秒差に迫る4位でフィニッシュした。

 36号車auといえば、昨年もサクセスウエイトが重く積まれたシーズン中盤で粘り強く走ってポイントを獲得していき、チャンピオン獲得の一助となった。今年は開幕戦でポール・トゥ・ウィンを果たし46kgのサクセスウエイトを背負って第2戦の富士を迎えたが、昨シーズンと同様に最終的にポイント圏内に上がってくる走りをみせた。

■追い上げのレース展開でみえた2024年型GRスープラの特性
「最初のスティントで坪井が何台か追い抜き、その後はピットストップで毎回1台以上抜くことができていました。本当にできる限りのことをやりました」と振り返るのは、au TOM’S GR Supraの吉武聡エンジニア。3時間の決勝レースで安定して速く走れることを重視したタイヤ選びをしているという。

 特に第1スティントを振り返ると、最初の10周は順位の変動がなかったが、13周目に9番手に上がってからコンスタントに順位を上げていった印象がある。第2スティント、第3スティントをみても、後半にかけて前のマシンとのギャップがより縮まっていく傾向があった。

 これについては「今回は1スティントあたり40周弱は走らないといけないということは分かっていたので、40周トータルで速いタイヤというのを選んだ結果が、今回の結果なのかなと思います」と、長丁場のレースになることを見越したと吉武エンジニア。さらにドライバーの起用法についても、他チームとは違った作戦を採った。

 昨年は450kmレースでどちらかのドライバーがダブルスティントを担当するケースが多く見られ、今回もいくつかのチームがダブルスティントの作戦を採ってきた。これに対してau TOM’S GR Supraは3時間を均等割し、坪井→山下→坪井の順でバトンをつないだ。

「スタートは坪井で決まっていたのですけど、ダブルスティントをやるとなると80周くらい走行しなくてはいけなくなります」と吉武エンジニア。

「本当はダブルスティントでいったほうが(戦略的には)やりやすい部分もありましたけど、未知の領域でどうなるか分からないですし、今回は予選11番手なので、無理をして(ダブルスティントで)いく必要もないという判断でした。どちらのドライバーも速いので、坪井には1回休憩してもらい、また乗ってもらうというパターンにしました」と、予選順位も考慮してリスクを負わずに追い上げていく作戦を意識したようだ。

 ドライバーの坪井は「僕としてはどちらでも良かったという感じで、2スティント連続でいくこともできました」と語り「3時間レースだと作戦の幅が限られるので、わざわざ2スティント連続でいく必要もないのかなという部分はありました。一度休むことができて(最終スティントは)リフレッシュした気持ちでプッシュできたので、それは良かったと思います」と、今回の戦略を前向きに捉えていた。

 坪井は、改めて11番手スタートから4位でレースを終えられたことに対して「今やれるすべてを出し尽くした結果です。予選でもう少し前のポジションにいれば表彰台も狙えたかもしれないですけど、最後は棚ぼたもあって4位に上がることができて、貴重な8点を獲ることができました」と、やり切ったという表情を見せながらコメントしていた。

 しかし、今大会で気になったのが、GRスープラ勢が他メーカーと比べてストレートスピードで少し劣勢になっているのではないかということだ。

 これについて坪井は「富士に対しての“メーカーごとの勢力図”が変わってきた部分があるのかなと思っていて、スープラ勢にとっては“苦しい富士”になってしまった感じはしています」と現状を語る。ただ、後方から追い上げたことでの収穫もあったようだ。

「ストレートは苦しいですけど、その分コーナーが速いなど良い部分はあるので、その強みを活かせましたし、このクルマならではのオーバーテイクの仕方も分かった気がします。前回(岡山)はずっとトップで走っていたので分からなかったですけど、今回はいろいろとバトルができ、強みと弱みがしっかり分かったのは良かったです」と坪井。

 パートナーの山下も「ちょうど12号車(MARELLI IMPUL Z)を追い詰めているときに、彼らが先にピットインをして、僕の前に出てきました。そこで一緒に走りましたけど、やはり(ストレートスピードの差が)気になりますね。そこは改善しないといけない部分ではありますけど、逆に鈴鹿では自分たちに有利になるかもしれないです」と、坪井と同様にコーナーでの速さは今後活かすことができる要素だと考えているようだ。

■新加入の山下が再確認したau TOM’Sの強さ。今後の戦い方と課題も明確に
 また山下は「本当にau TOM’S GR Supraらしく、(昨年まで)外側から見ていて『こういったレースをしていたな』と思いながらレースをしていました」と語る。

 昨年までは別のチームに在籍していて、外からau TOM’S GR Supraの強さを見ていたが、今回は内側からその強さを再確認できたという。

「ある意味、予想どおりでしたね。ピットストップが早く、今回もピットストップで毎回順位を上げていましたし、とにかくレース中のペースが常に速い。坪井選手のときも僕のときも速かったので『au TOM’Sは強いな』という感じでした」

 第2スティントでは、コース上で誰かをオーバーテイクすることはなかったものの「12号車(MARELLI IMPUL Z)と縮まって、16号車(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT)を引き離しました。その2台と比べると明らかに重量は重いのにペースが良かったですし、選んでいるタイヤが良かったと思います」と山下。自力ペースの良さがあったからこその結果だったことがうかがえる。

■“燃リス”の「耐え方は知っている」坪井。後半に向けてしぶといレースを
 4位入賞で得点を31ポイントに伸ばした坪井/山下のau TOM’S GR Supra。これにより次戦鈴鹿のサクセスウエイトは62kgとなり、51kg以上が対象となる燃料リストリクター制限を次戦から受けることになる。

 それでも坪井は「(燃リスダウンで)辛いレースは昨年も散々味わってきているので、耐え方は知っています。山下選手とチームとともに、7位でも8位でも良いので。しぶとくポイントを獲っていきたいと思います」と力強くコメント。

 同じように吉武エンジニアも「いつもどおりやっていくだけです。今回14号車(ENEOS X PRIME GR Supra)がピットスタートから8位に入っているのを見ると、淡々と走ればそれくらいのところには来られるのかなと思います。トラブルに巻き込まれないようにすることと、ミスをしないこと、このふたつを意識し、淡々と走っていけばポイントは獲れるのかなと思います」と落ち着いた様子だった。

 山下もレースでの強さは今回再確認できたので問題はないと言いつつ「自分は、どちらかというとau TOM’Sに加入してから予選があまりうまくいっていないです」と続ける。

「いつもどこかで0.2秒くらいミスをしていて、今ひとつ乗れていない感じです。その部分は考えてどうにかなる問題ではないですけど、そのあたり(予選の改善)を意識して走ることができればと思います」と、今後に向けた課題も明確になっているようだ。

 安定した強さを維持するau TOM’S GR Supraに追いつくライバルは現れるのか。中盤戦以降も目が離せない展開となりそうだ。

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